古典的な光学ホログラフィは写真の技術であり、実在する被写体の立体写真を高解像度のフィルムに撮影する技術である。そのため、コンピュータグラフィックス(CG)のような架空の物体の表示、デジタル画像のようなネットワークを通じた伝送、デジタルメディアへの記録といったことはできない。コンピュータホログラフィは、光学的ホログラフィを完全にデジタル化したものであり、古典的光学ホログラフィでは不可能なこれらの処理がすべて可能である。そのため、究極のデジタル映像技術と呼ばれている。しかし、それを実現するために必要なデータ処理の規模があまりにも莫大であり、またその再生にはミクロンレベルの物理解像度が必要なため、実際には最近までは鑑賞に堪えるコンピュータホログラフィ映像を作成することはできなかった。
そのような状況にあって、本プロジェクトでは超大規模のデータ処理を行ってホログラフィ映像を計算する技術を開発し、レーザーリソグラフィ技術を用いて実際に美しいホログラフィ映像を作り出すことに成功した。コンピュータホログラフィによるこの3D映像は現時点では静止画であり単色でしか再生できないが、従来型3Dとは根本的に異なった奥行き感のある自然な3D映像が観察者に驚きを与え、世界的に高く評価されている。 |
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